Sunday, September 21, 2008

第4回「授業改善への具体的指針」 高橋一幸(神奈川大学)

 授業改善には、いろいろな方法があるが、教師一人が独力でできることは限られている。より良い授業を目指して、ともに励まし合い切磋琢磨する仲間を見つけることが大切である。「学ぶことは真似ることから始まる」とよく言われる。優れた授業を数多く見て学ぶことは、特に経験の少ない若い先生方には重要である。また、勇気を出して、自分の授業や実践を公開し、他の人々から批評や助言を得ることも大切だ。自己の経験からだけでは視野が広がらないので、英語教育に関する様々な文献を読み、自分なりに消化して授業に取り入れることも忘れてはならない。

 ただ、ここで留意すべきことは、いかに本を読んだり、すぐれた授業実践を見たからと言って、そこに示されているものを自分自身の考えもなく、ただ真似るだけではうまく行く保証はない。対象とする生徒が異なり、指導する教師自身も違うのであるから、うまく行かなくてむしろ当然だと言えよう。「自分の育てたい理想の生徒のイメージ像」と「生徒達の現状(現在地点)」とのギャップの中から、授業改善の目標を一人ひとりの教師が自ら見つけ出し、それを克服するための具体的方法(仮説)を考えて、それを実践しながら、その効果を検証し、もし、うまく行かなかったら、仮説を修正して粘り強く取り組むことが必要である。このような手順をきちんと踏んで授業改善を進める方法が「アクション・リサーチ」である。リサーチと言っても、実験群と統制群に分けて、異なる指導法を実施し、その結果を有意差で数量的に検証するような、現場教員には技術的にも難しく、指導モラル上も実施困難なものでなく、目標意識を持って授業を行いながら、ピンポイントで具体的にその改善を図る、現場教師にすすめたい方法である。

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