Saturday, October 15, 2011

日本教育アクションリサーチネットワーク(JEARN)第1 回 研究大会のご案内


日本教育アクションリサーチネットワーク
Japan Educational Action Research Network (JEARN)
第1 回 研究大会のご案内 

関 係 各 位

省察を繰り返しながら授業改善に取り組む方法として、また、教員一人一人の授業力向上を促す研修の望ましい一つの在り方として、アクション・リサーチへの関心が高まってきています。
昨年、それまで、山形、横浜、京都、広島、高知、愛媛において活動を進めていた各研究グループの代表と全国各地で活動する研究者が集い、お互いの連携を図り、より質の高い研究活動を進めるためのゆるやかな統一体として「日本教育アクションリサーチネットワーク」を立ち上げることになりました。有益な研究、および情報の発信を行う研究団体として、今後、ゆっくり、一歩ずつ前進していきたいと考えております。皆様のご協力、ご支援を頂けますよう、心よりお願い申し上げます。
さて、本ネットワークの第1回研究大会を以下の要領で開催する運びとなりました。お知り合いの方をお誘いの上、奮ってご参加いただけますようご案内申し上げます。
平成23年7月18日

日本教育アクションリサーチネットワーク     代    表     佐野正之
大会実行委員長      金森 強
      副委員長        寺嶋健史

大会テーマ:『アクション・リサーチの意義と可能性』 

主催:日本教育アクションリサーチネットワーク(JEARN)
共催:松山大学大学院 言語コミュニケーション研究科 
後援:愛媛県教育委員会、高知県教育委員会、松山市教育委員会(申請中)
(財)日本英語検定協会 

期日:平成23 年11 月26 日(土)  10 時10 分〜18 時10 分
会場:松山大学 8号館    〒790-8578 愛媛県松山市文京町4-2

協賛:アルク教育社    開隆堂  教育出版   三省堂
成美堂   大修館書店 ピアソン・桐原(申請中)

プ  ロ  グ  ラ  ム  

【受  付】       9:45             (8号館4階 ロビー)

【開会式】    10:10  〜 10:25  (8 号館4 階 844 教室)
挨  拶     日本教育アクションリサーチネットワーク代表 佐野正之
松山大学言語コミュニケーション研究科長   岡山勇一

【研究発表】   10:30 〜 12:10

第一教室(841教室)【小学校外国語活動】

司会 神野 剛(愛媛県教育委員会東予教育事務所)

① 『PDCAサイクルによる研修の取り組み』
発表者:吉見香奈子(松山市立雄郡小学校)

② 『外国語活動の授業改善の視点』
発表者:粕谷恭子(東京学芸大学)

③ 『評価と指導の一体化を目指して‐日比崎小・中学校の取り組み』
発表者:梶田 健(尾道市立日比崎小学校)
安保友里(尾道市立日比崎小学校)

第二教室(842教室) 【中学・高等学校英語】
  
 司会 客野英司(愛媛県教育委員会)

① 『基礎・基本の定着を図り、学びへの志向性を高める工夫―ARの視点から』
発表者:兵頭泰則(済美高等学校)

② 『英語が苦手な生徒も自己表現ができるようになるには
どのような指導が効果的か』
発表者:岡 つぐみ(高知市立旭中学校)

③ 『英語力向上と笑顔の実現をめざした協働的アクション・リサーチ
-英語科教員全員とメンターが共に創り上げる3年間のカリキュラム』
発表者:長谷川愛(福岡市立博多中学校)
高橋晶子(福岡市立博多中学校)
中泉友里(福岡市立博多中学校)
横溝紳一郎(佐賀大学/
博多中学校父母教師会副会長)

第三教室(843教室) 【研修・複合領域】

司会 苅山俊樹 (愛媛県教育委員会中予教育事務所)

① 『欧州の言語教員養成システムから学ぶこと‐言語教師のCan-Doリスト』
発表者:檀 茂美(松山大学大学院)

② 『教員研修から見える学校現場のニーズ -ARの視点から』
発表者:村越亮治(神奈川県立国際言語文化
アカデミア)

③ 『メンター・メンタリングの条件‐学校と会社の比較を中心に』
発表者:金森 敏(松山大学非常勤)

******* 【 昼 休 み  12:10 〜 13:10 】  *******

 *役員会 12:20 〜 13:00(844教室)

【課題別討論会】 13:10〜14:10

第一教室(841教室)       
『小中の接続・連携の在り方―カリキュラム、指導、目標・評価』
司会・進行:山中由香(土佐町立土佐町中学校)
提案者:大垣公子 (尾道市立日比崎小学校)
        金森 強 (松山大学)

第二教室(842教室)       
『4つのスキルを効果的に指導する方法‐知識と活動のバランス』
   司会・進行:松川真紀子(広島県三次市立三和中学校)
提案者:鎌田宏和  (愛媛県南予教育事務所)
西村秀之   (横浜市立富士見中学校)

第三教室(843教室)       
『原則英語で指導する授業の在り方‐統合的な活動の実践を目指して』
司会・進行:池田哲也  (愛媛県教育委員会)
提案者:河野 極  (愛媛大学付属高等学校)
小金丸倫隆 (神奈川県立厚木清南高校)

第四教室(840教室)       
『ARにおけるメンターの重要性と役割‐望ましい資質とは』
司会・進行:寺嶋健史(松山大学)
提案者:井上祐子(高知県教育センター)
山田憲昭(高知県教育委員会)
河村節子(高知県東部事務所)
【基調講演】(844教室)  14:20 〜 15:30

『新学習指導要領を踏まえた授業の創造』
文部科学省 視学官   太田光春 先生


【シンポジウム】  (844教室)  15:40 〜16:55
『教育ARネットワークの役割とその可能性』

コ-ディネータ  : 佐野正之   (JEARN 代表・横浜国立大学名誉教授)
パネリスト  : 高橋一幸   (神奈川大学)
長崎政浩  (高知工科大学)
横溝紳一郎 (佐賀大学)

【閉会のあいさつ】

【参加費】         無料     資料代金:500円

************************************


【情報交換会・懇親会】
カルフール1 階 カフェテリア食堂  17:30 〜 20:30
司会  三谷浩司(宇和島市立喜佐方小学校)
参加費 2,000 円
参加を希望される方は,11 月11 日(金)までに,事務局にお申し込みください。

【昼 食】
大会当日,昼食類の販売はございません。
お弁当が必要な方は11 月11(金)までに事務局にお申し込みください。お茶付きお弁当代1,000 円

学校付近にコンビニ、食事処2,3軒がございます。

【交通アクセス】
・所在地
790-8578  愛媛県松山市文京町4-2 松山大学 8号館4F
電話:089-925-7111(大学代表)

・松山空港より
空港 - JR松山駅     リムジンバス  20分 300円
JR松山駅 - 鉄砲町     路面電車   15分 150円
鉄砲町 - 松山大学     徒歩           5分 無料
*タクシ-利用の場合  空港 - 松山大学  2800円程度
                                    空港 - JR松山駅  1500円程度
JR松山駅 – 松山大学  1500円程度

・JR松山駅より 
JR松山駅  - 鉄砲町     路面電車   15分 150円
鉄砲町 - 松山大学   徒歩           5分 

・松山観光港より
観光港 ‐ 高浜駅    バス      3分  100円
高浜  ‐ 古 町    電車     17分  400円
            古町   ‐ 鉄砲町    路面電車   10分  150円


【申し込み・問い合わせ先】

お申し込みは、次ページの【申し込み用紙】に必要事項をご記入の
、FAXあるいは電子メール添付ファイルにて、お送り
ください。 10月18日(金)までにお送りください。

松山大学大学院言語コミュニケーション研究科
金森強 研究室内 升田理絵 
電話&ファックス:089-926-7061
              電子メール   :33110012@cc.matsuyama-u.ac.jp

【申込用紙 FAX用】 申込書(pdf)のダウンロード

宛先(FAX):089-926-7061  金森強 研究室
件名:「日本教育アクションリサーチネットワーク第一回 研究大会 参加」
お名前:                                   
ご所属:                    
ご連絡先: 電話&FAX            
       電子メール            
1) □ 研究大会に参加します。
□ 領収書(資料代 500円)が必要です。

2) □ 弁当(1,000円)を申し込みます。
□ 領収書が必要です。
3) □ 情報交換会(参加費2,000円)に参加します。
□ 領収書が必要です。

4) □  展示/販売(10,000円)を申し込みます。
      □ 発表要旨集に広告掲載を申し込みます。
□裏表紙 10,000円
□1面 5,000円   □半面 3,000円
      □ 領収書が必要です。

Friday, August 13, 2010

アクション・リサーチ全国大会 ご案内

私たちが学校で直面する問題は、このところ一層複雑化し、従来の学問や体験だけでは対応しきれなくなっております。こうした中で、理論からではなく、現場から調査・研究を開始する方法が注目されるようになりました。中でもアクション・リサーチは、英語に限らず、学校や地域での共同研究や授業改善の手法としても注目されつつあります。ところが一方で、アクション・リサーチにはパターン化した調査手法が存在しているわけではなく、リサーチの成否は、生徒や同僚との協働や経験の交換、また、メンターのアドバイスの質に左右されることが少なくありません。個人的な努力だけではなく、互いに経験知を交換しあう協働的な研究体制が必要だということになります。

このような思いから、アクション・リサーチの会@yokohama は、平成13年の立ち上げ以来、2ヶ月に1回の定例研究会、2年に1回の研究大会、2回の研究紀要の発刊などを続けて参りました。立ち上げから10周年を迎えるのを機会に、今年度は「全国大会」と銘打って、発表者を外部からも募り、小学校の外国語活動から中学・高校での授業改善、教員養成や再教育など、今英語教育が抱えているさまざまな問題にアクション・リサーチで解決を探りたいと思っております。また、これを機会に「教育アクション・リサーチ・ネットワーク(Japan Educational Action Research Network)」を設立し、各地の研究成果を共有し、情報交換のできるネットワークを立ち上げたいと考えております。また、将来的には他教科や学校教育全体の問題をも扱うネットワークづくりを目指したいとも願っております。

つきましては、御多用の中、誠に恐縮ですが、多くの皆さまの参加をいただきたく御案内申し上げます。

≪主催≫ アクション・リサーチの会@yokohama

≪後援≫ 神奈川県教育委員会 山形県教育委員会 高知県教育委員会
アクション・リサーチ支援ネットワーク 横浜国立大学教育人間科学部教育デザインセンター

≪期日≫ 2010年(平成22年) 10月3日(日)

≪会場≫ TKPコンカード横浜カンファレンスセンター
横浜市神奈川区金港町3-1コンカード横浜2F
「横浜駅」きた東口改札口より徒歩5分 【http://tkpcy.net/ 】

≪日程≫
9:10~ 受付
9:30~ 開会行事

9:40~10:10 基調講演横浜国立大学名誉教授佐野正之
『アクション・リサーチの過去と現在と未来の展望』

10:10~11:40 研究実践報告(1) 全体会

a) アクション・リサーチの進め方:神奈川県の取り組みから
 神奈川県立神奈川総合高等学校教諭 小泉玲子
b) 授業力の改善を目指した中学校での実践
 神奈川県綾瀬市立綾北中学校教諭稲垣梓
c) More Communicative ~ Less Japanese, More English ~
 神奈川県立川和高等学校教諭栗原清

11:40~ 諸連絡

11:45~12:45 昼食・交流会

12:50~15:00 研究実践報告(2) 分科会

【小学校外国語活動部会】司会・進行 粕谷恭子(東京学芸大学)

○森永清司(三次市立川地小) 『子どもが意欲的にコミュニケーションを図ろうとする外国語活動~ARの手法を用いた授業改善を通して~』
○古谷伸彦(横浜国大附属鎌倉小) 『できないからこそ自分を見つめ耳を傾ける小学校英語』
○新海かおる(春日部市立八木崎小) 『児童の自然な発話を引き出す授業をめざして』
○関口和弘(横浜市教育委員会) 『子どもと学級担任が安心して取り組める外国語活動を目指して~現場の声を生かした学校支援~』

【中学校英語部会】司会・進行 岡本徹(綾瀬市立綾北中学校)

○奥山竜一(山形大附属中) 『つながりを実感する授業づくりをめざすAR』
○西田弘栄・角濱慶司(三次市立十日市中・八次中) 『仲間がメンターとして支えあうAR』
○西村秀之(横浜市立富士見中) 『豊かなプロダクションを引き出す授業づくり』
○Jayde Kemsley (藤沢市ALT) 『English in English』

【高校英語部会】司会・進行 小泉玲子(神奈川県立神奈川総合高等学校)

○宮内朋子(愛媛県立松山工業高) 『教科書にからめたタスク活動の利用によって英語への苦手意識の克服を図るAR』
○小島瑠美子(横浜市立戸塚高(定時制)) 『生徒達に小さな自信を与える授業をめざして~定時制高校で二年目を迎えて』
○組田幸一郎(千葉県立成田国際高) 『生徒の成長・教師の成長』
○米野和徳(山形県教育庁) 『高等学校におけるARの試み~コーディネーターの立場から~』

【教員養成と研修部会】司会・進行 横溝紳一郎(佐賀大学)

○志村明彦(慶應義塾大学) 『慶應義塾大学教職課程(英語科)におけるARの導入に関する実践報告』
○中森誉之(京都大学大学院) 『学校教育臨床のためのAR』
○三上明洋(近畿大学) 『AR支援としてのメンタリングの実践について』
○山田智久(佐賀大学) 『ARを振り返って~ARにおける枠組みの必要性について~』

15:15~15:50 地域研究グループ交流会
  横浜、松山大、高知、山形、三次などの取り組みとJEARN発足に向けた提案

15:50~16:20 講演神奈川大学教授髙橋一幸
 『英語教師の自己研修と教師教育~Professional Developmentを目指して~』

16:20~16:30 閉会行事

詳細は、開催案内(pdf)を御覧ください。

Friday, January 1, 2010

AR支援ネットワーク通信 「新年のご挨拶」(2010.1.1 配信)

「アクション・リサーチ支援ネットワーク通信」 読者の皆様へ

新年あけましておめでとうございます。

「アクション・リサーチ支援ネットワーク通信」も3年目に入りました。皆様の熱心な声に支えられて、38号までお届けすることができました。

私たちは、英語教員の「研修」のあり方を見直したいという願いをもって、この通信を創刊しました。教員の研修を、講演中心のものから、教室で教師が主体性をもって行うものに変えて行く必要があるのではないか。そのような問題意識につきうごかされて、様々な課題を提起をしたり、具体的な事例を提供してきました。

2008年7月1日配信に配信した第1号には、「アクション・リサーチの「リサーチ」は、科学的なリサーチではなく、「結果と原因を考えながら、論理的に問題を追及する」という意味でのリサーチです。計画を立てて授業を実施し、指導中に、また事後に振り返り、反省を次に生かすことができれば、ARで一番重要な部分を行っていることになります。」とあります。

授業そのものがリサーチである。日々の教室の中で、生徒たちの声に耳を傾けながら、同僚たちともに、授業について語り合い、お互いを高めていく。学校そのものが、教員の力量形成の場であり、教員の学びの場である。そのような環境の中でこそ、児童生徒たちの真の学びが生まれる。

私たちのゴールはまだ遠いかもしれません。しかし、誰かがビジョンを描き、その実現のために仲間とともに学び続けていかなければなりません。この通信が、その第一歩となることを願っています。

今年も、よろしくお願いいたします。

2010年元旦

アクション・リサーチ支援ネットワーク

  佐野 正之 高橋 一幸 金森 強 長崎 政浩

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☆「英語教員のためのアクション・リサーチ支援ネットワーク 」オンライン・レクチャー
http://eflteacherinaction.blogspot.com/
【主宰】佐野正之(松山大学)  【事務局】長崎政浩(高知工科大学)
◎このメールに返信しても、メッセージは送信されません。ARについての質問や疑問点は
masahiro@nagasaki21.com または 0887-57-2105 までお願いします。

Tuesday, November 3, 2009

☆AR支援ネットワーク通信(5)「REVIEW 第1部 教員研修とアクション・リサーチ」

「AR 支援ネットワーク通信」をお読みいただきありがとうございます。7月1日からこれまでに4回のメールを配信いたしました。本で言えば、第1章が終了したところです。ここまで読まれて、実際に研修を企画・運営されている皆さんは、どのような感想をもたれたでしょうか?

この通信では、情報が一方通行にならないよう、皆さんの意見を紹介したり、共通の課題を取り上げ議論したりするなど、できる限り双方向で進めていきたいと考えています。そのために、レクチャーの区切りごとに、このようなREVIEWを設けていく予定です。REVIEWの第1回は、5年間の英語教育指導力向上研修でアクション・リサーチを実施してきた高知県教育センター指導主事のYさんとIさんの感想をもとに、これまでのレクチャーの内容を振り返ります。

■アクション・リサーチと達成感
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「佐野先生からのメッセージを拝読するたびに元気をいただいております。佐野先生のメッセージは、いつも英語教育、人に対する情にあふれていて、どんなトピックでも的確な具体例によって、「動きが目に見える」ように導いてくださるからです。どこまで頑張ってもゴールはない教育という仕事に携わる私たちにとって、「具体的なゴールに向かう」という発想は本当に大事なことだと思います。それが佐野先生に御指導いただいたARに高知の英語教員が嬉々として取り組めた理由の一つではないかと思います。」
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5年間取り組んできて、アクション・リサーチには、達成感が実感しやすいという特徴があることが分かってきました。自己評価では、「授業について深く考察するようになった。」「生徒のニーズを踏まえて授業を実施するようになった」など、アクション・リサーチに取り組んだことで、自らの変容が実感できたとする意見が多く見られました。授業に対する肯定的態度が高まるのです。これは、具体的なゴールを定め、生徒をじっくり観察して、データをもとに検証するプロセスがあることによるのではないかと考えています。この辺りにも、教員研修でアクション・リサーチを実施する意義があると言えそうです。

■初任者研修とアクション・リサーチ
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「初任者研修では、具体的な短期目標を掲げるように気をつけています。受講者たちはあまりにも多くのことを一度に吸収しようと焦ったり、憧れ描いてきたものと現実とのギャップにつぶれてしまったり、悩みを相談できないまま自分は駄目だと思い込んでしまったり、激動の一年を過ごしているように見えます。そんな初任者さんたちには、自分を見直し自信を持ってもらうために、「ミニミニAR」をしていただいています。」
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今年の初任者の授業研修に私(長崎)も同行させていただき、授業後の研究協議にも参加させていただきました。その中で、感じたことは、初任者の段階では、自らの力で課題を見つけ、その解決策を探っていくのはなかなか難しいということでした。メンタリング(コーチング)の基本にある、クライアントの経験や知識が乏しい段階では、一定の「指示」や「指導」が必要であるという考え方とも、一致します。アクション・リサーチをやれば自動的に授業改善が図れるという訳ではなく、本人の経験や力量、パーソナリティーなど、様々な要因を考慮に入れて、支援していくことが必要になるということでしょう。教員研修でアクション・リサーチが効果を発揮するには、優れたメンターの存在が必須です。これは、私たちにとっての今後の重要な研究テーマです。

■10年次研修とアクション・リサーチ
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「10年経験教員研修に関しては、佐野先生のメールを本当にうなづきながら読みました。10年の教科研修はこの夏、二日連続で合計4日間ありました。その中で「よかった」、「研修が有効であった」と思えるのは、受講した教員同士が十分に日頃の実践を語り合い、課題を出し合いその手だてを考え、2,3人のグループに分かれて指導案を考え模擬授業をする時間がもてたことです。」

「中学校の受講者は5名、全員英語教員指導力向上研修も受講し実践(自信も)ある方たちだったので、5月の1回目の教科研修の時には、あまりこちらの話を受け入れようという姿勢がなく、私自身不安を感じたことでした。しかし、受講者同士の話し合いが深まるにつれ、研修の雰囲気は良くなり、5人ともとても前向きに協力して取り組んでくれました。自主的に資料を持ち寄り、情報交換をしていたりで、こちらは取り組むテーマの投げかけと時間の管理をしていれば良いという感じになりました。」

「高校の10年経験者研修は、自己課題解決を柱に、1年間の研修を組み立てています。年度当初に研修計画を立てるのですが、みなさんARの経験がありますので、RQ、仮説の設定など一連の流れがすでに自然に入っています。改めて、ARの偉大さを感じます。また、佐野先生がネットワーク通信でおっしゃっているように、経験、知識が豊富で指導力が高い方がほとんどです。それぞれの貴重な10年の軌跡を具体的に他の受講者に「自分のウリ(強み)」として示していただく機会とも捉えています。学校では若手教員の指導にその「ウリ」やセンターでの研修を生かしてもらう。若手教員を指導することによって、自己のこれまでの仕事の整理や理論の裏づけができること、そして「教科会の組織力の必要性」を意識していただけるのではないかと思っています。」
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10年の経験を積んだことで、受講者の皆さんは、それなりの自信を身につけてきていることが伺われます。一方で、 personal
theoryが固定化されてくるという側面もありそうです。やはり、受講者のニーズや特徴をしっかりと把握したうえで、研修計画を立てることが大切になるでしょう。
また、10年の経験をもとに、後輩たちのメンターの役割を果たすことを研修の一部と位置づけるという指摘は、とても重要だと思います。それによって、自らの実践について、さらなる確信と自信を得るだけでなく、同僚性の中で、教師としての自己成長が促されるような職場づくりも視野に入れておくことができるからです。アクション・リサーチを身につけた次代のリーダーが、生き生きと活躍できるアカデミックな学校づくりを目ざしたいものです。

■英語教員研修のフロンティアに
メールによるレクチャーの中でも、日本の教員養成の問題点についての議論がありました。
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「昨年丁度、カナダの教員養成課程を調査する機会に恵まれました。イギリス同様、大学院レベルでの教員養成が基本であり、大学と教育委員会と学校との連携により「資格」に相当するプロの教員を育てるシステムが構築されていました。「教員の資格を持つ人」とは具体的にどんな力がどれくらい備わった人のことなのかが気持ちよいくらい明確でした。日本の教員養成課程、教職大学院の今後も気になるところです。」
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5年間、アクション・リサーチを実施してきて、私たちは何度も、我が国の教員養成の問題を考えざるを得ませんでした。人より少し英語ができて、少し教授法や指導法を学び、2週間程度の教育実習をやれば、教員として教壇に立てる。教員という仕事は、それほど簡単なものなのかと。人の命を預かる医師が、必要な訓練とインターンシップを経て、医療の現場に立つように、もっと専門職として厳しい訓練と教育が必要ではないかと。なぜ、アクション・リサーチなどの方法を教え、自らの授業を改善する力量を、教員養成の段階から身につけさせないのだろうかと。

もちろん、長年続いてきた、我が国の教員養成が、短期間で変わるとは思えません。だとすれば、採用後の教員研修の重要性がより一層高まります。現行の制度の中で、真のプロの英語教師を育てるためには、アクション・リサーチが不可欠なツールだと私たちは考えています。しかし、我が国では、まだまだ未開拓の領域です。この試みが、日本における英語教員研修のフロンティアとなる、そのような願いと確信をもって、共に取り組んでいきたいと思っています。

皆さんからも、これまでのレクチャーの内容について、ご意見やご感想をお寄せください。

Friday, October 30, 2009

☆AR支援ネットワーク通信(4)「10年研修」

■はじめに
前回の通信では、日本の教師に対するpre-service trainingが不十分なので、初任者研修では、(1)
授業改善が教師の一番の仕事であること、(2) そのためには、協働的な「振り返り」で誤ったpersonal theory
からの脱却を図ること、また、(3)
クラス・コントロールも、授業の目標と結びつけることを重視すべきだと指摘しました。今回は10年研修を取り上げて考えてみたいと思います。

■基本的な考え方
授業をするには、生徒の実態やニーズを知らなければなりません。それと同様に、10年の経験がある教師を対象にした研修を計画するには、経験者の特徴を知らなければなりません。また、研修目標も、新任研修と10年経験者研修とでは、当然、異なるはずです。受講者の実態の差、また、期待の差が、研修計画に反映してくるのは当然です。
たとえば、同じ授業改善を図るにしても、初任者のように直接アドバイスを与えても、聞き入れてはくれないでしょう。経験者はすでに独自の授業観を持っているので、その認識を変えなければ授業は変わりません。認識を変えるには、まず、認識に気付かせ、変革の必要性を実感させた上で、解決方法を自ら探し、実践で改善策を試させることが大切です。また、授業改善も自分一人の作業と捕らえるのではなく、学校や地域の同僚に働きかけて協働で取り組む姿勢と技量を育てることも必要です。
それを可能にするには、研修を計画する側に、受講者と一緒に研修カリキュラムを創造するという姿勢が欲しいものです。受講者が扱って欲しいと思っているテーマを事前に調査し、それを土台に計画することが理想ですが、実際上は難しいでしょう。そこで、「経験者の学習の特徴」を生かして計画し、実施しながら観察し、また、事後に感想や意見などを聞いて次年度に生かします。いわば、研修計画のアクション・リサーチを受講者と一緒に進めるのです。ですから、まず、「経験者の学習の特徴」をまとめておきます。

■経験者の学習の特徴
Jon Roberts(1998.Language Teacher Education. Arnold)の説を参考に、自説を加えながら、研修計画の作成の際の留意点を説明します。

(1) 自分で決めたことなら学習するが、外から押し付けられたと感ずると、いこじになって拒絶する。従って、プログラムも有無を言わせず提示するのではなく、変更の可能性を残すほうが効果的である。可能なら希望に応じて変更し、受講者に共同責任を持たせる。

(2) 一般的にはベテラン教師は、経験と知識があり指導力が高い。反面、化石化を起こし、熱意をなくしている人もいる。友好的な雰囲気の中で経験や情報を交換しあうことは、知識の交流だけでなく、相互理解や同僚意識を高め、両者に意義のある活動となる。

(3) 自分の仕事に必要で、役立つ情報だと学習する。多くのベテラン教師は自分を変える必要性を感じながら、方向性が見出せないでいる。逆に言えば、小さな成功体験で情報の有効性を実感するきっかけさえあれば、改善に取り組むことが期待できる。

(4) 経験だけでは不十分で、理論的な支柱が欲しいと感じている教師は多い。だが、また、理論と現実の乖離も感じている。とすれば、たとえば言語習得の理論から授業の構成を考え、そこから自分の授業案を作成する研修が効果的だということになる。

(5) 逆に、個々の問題解決が試行錯誤の産物に終わらぬように、一般化をめざすことも必要である。「現場から理論を生みだそう!」と強調することも大切である。

■効果的な研修の枠組み
こうした「経験者の特徴」を生かさない研修は、効果が上がりません。たとえば、トピックが外から押し付けで、自分たちのニーズに対応していないと感じたり、また、学習しても教室での実践が難しく、プラスにならないと思ったりする場合です。さらには、研修の方向性が明確でないと、無駄な労力を使わされると思ってしまいます。逆に言うと、受講者が「意味のある研修」だと感ずるには、次ぎの要素が必要です。

(1) 研修目標が明確で、それぞれのプログラムが目標を反映した全体的な枠組みに位置づけされている。特に、集合研修と学校での自己研修の関連づけが明確である。

(2) 自己研修では、授業の「振り返り」で授業の進め方や生徒理解に関して問題意識を高めておいて、集合研修では同僚との意見交換や講義で、自分のpersonal
theory や生徒との関係などを見直し、解決策を探るための話し合いの機会が多くある。

(3) 集合研修での演習や講義は、一方的に情報を受けるだけでなく、モデル授業を協働で組み立てるなどする中で、同僚との仲間意識を高め、協働して問題解決を図る機会となるように計画する。

(4) 集合研修で醸成された仲間意識が研修後も持続するよう、教育センターが支援して、狭い地域での授業研究や協働的なアクション・リサーチの勉強会を計画する。

■まとめ
この稿をまとめると、経験者の研修では、「教え込む」姿勢は極力控え、意味のある研修を計画し、協働でプログラムを進めるとともに、最終的には新しい研修を創造するという姿勢で臨むことが望ましいということです。そのひとつの試みとしては、アクション・リサーチを研修の中核と位置づけ、学校での個人研修では、いつまでに何をするかスケジュールを示し、ハンドアウトで活動内容を提案します。一方、集合研修では、個人研修の報告と今後のリサーチの計画を協働で立案させ、必要な情報や支援を与えます。集合研修後は、学校や地域で授業や実践を公開しあい、ARの成果をレポートにして共有財産とすると同時に、結論の理論化や一般化の方向性も探ります。

Sunday, October 4, 2009

AR支援ネットワーク通信(3)「初任者研修とAR」

松山大学  佐野正之

■はじめに
前回の「通信」では、personal theory から自由になって授業改善に取り組むためには、授業しながら授業をリサーチする(原因と結果を考えながら、物事を論理的に追求すること)姿勢を育てることが大切だと述べました。このことは、特に、初任者研修に当てはまります。というのは、自分の思い込みで間違った授業をしているのに、注意されずに野放しにされると、課題が化石化して、生徒から英語を学ぶ楽しさを奪い続けることになるからです。あるいは、内心の不安を隠すために、授業公開を極端に嫌う教師になってしまうかもしれません。いずれにしても、早めの手当てが必要です。こうした危険が顕在化しているのは、日本の教員養成に一因があります。それは、フィンランドや英国の教員養成と比較すると一目瞭然です。英国の例を紹介しましょう。

■英国の教員養成
英国では教員養成は大学院レベルで行われるのが普通です。しかも、在学期間の3分の2は複数の実習校での研修に当てるように法律で定められていて、そこでは、ベテラン教師の授業観察はもちろん、マイクロ・ティーチングでの指導技術の向上や、段階をおった実習など、細かな計画が大学と実習校の緊密な連携でなされています。特に、授業実践のあとでは、メンター(教育実習生の指導にあたるベテラン教師で、他の校務は一切免除されている)と大学の指導教官による個人指導が徹底的に行われ、ポートフォリオやアクション・リサーチで自分のpersonal theory を見直し、実践的な知識や技量を磨く機会がふんだんに与えられるのです。さらに、教員の資格は国家資格ですから、教科の知識や技量だけでなく、クラス・マネジメントから動機付けの方法や評価、はては、同僚や保護者との対応まで国で定めたレベルに達しているかが調査され、その上で免許状が出されるのです。2週間や3週間の教育実習でお茶を濁す日本とは大違いです。
もちろん、日本でも初任者の指導に当たるベテラン教師はいるのですが、その先生自身が自分の仕事で手一杯な現状では、多くのことは期待できません。そうなると、教育センターでの初任者研修が重要です。プロの英語教師として、自立して成長してゆくためには、教育センターの働きかけが求められているのです。実際の研修内容は多岐に渡るので、ここでは授業改善(=personal theory からの脱却)と、クラス・マネジメントについてだけ説明します。この2つが日本型の教員養成では、最も身につかない能力だからです。

■授業改善:Personal theory からの脱却
(1) 実態報告と意見交換。
教室でのsurvivalに不安を感じている人は、personal
theoryからの脱却も、その後の成長も望めません。そこで、まず、初任者同士で悩みを交換させ、悩んでいるのは自分だけではないことに気づかせます。大学で習った教授法が通用しないとか、英文和訳でさえもうまくいかないとか、悩みは雑多でしょう。そこで、教案を示しながら、どのように教え、どこで問題が生じたか実態を報告させます。そのとき、指導主事は善悪の判断をせずに悩みを聞いてやり、仲間の実践や話し合いから解決方法を自分で見つけるように励まします。そこでの気付きや、その後の実践をポートフォリオに記録させ、また、自分の英語学習歴も書かせて、personal
theory との関連を考察させ、発表させます。

(2)理論は実践と結びつけて
指導要領や評価についての講義は必要なインプットです。ただ、それが生きて働く力となるには、理論と実践を結びつける道筋を示してやることが必要です。たとえば、他の初任者と協働で、評価の理論と教材とを結び付けた指導案を作り、モデル授業で練習させ、授業改善に繋がるかを話し合わせます。その上で実際の教室で試し、生徒の行動や自分の認識にどのような変化を生んだか、ポートフォリオに記録させます。結局、理論は単なる知識ではなく、実践と結びつけて利用するもので、教師は常に新しい情報を利用し、自分の指導力を向上させる責任があるのだという意識を育てます。

(3) 観察やビデオによる授業研究
ベテラン教師の授業観察や、ビデオでの授業研究もpersonal
theoryからの脱却に役立つインプットです。複数のモデルを見せ、話しあいの時間をとります。ひとつに偏ると、表面の物まねに終わるからです。また、自分の授業をビデオで紹介するときは、初期は撮る箇所を限定し、指導力の伸びに応じて撮る時間を延ばしてゆき、最後に授業の全体像が完成するようにします。この点は、アクション・リサーチとも関連するので後述します。

■クラス・マネジメント
(1)授業とクラス・マネジメント
クラス・マネジメントというと、生徒を押さえつけるテクニークと誤解されがちですが、実は、より「分かる」「楽しい」「力のつく」授業にするために、生徒をどのように授業に参加させてゆくか、そのための方策を捜すことなのです。ですから、授業の目標を明確にし、生徒とshare
することが第一歩です。次ぎに、その目標や時間に応じて、全体学習、グループ学習、個人学習などの形態を適切に組み合わせて使用するのです。そのそれぞれに指導上の留意点があることに気付かせ、習得させます。

(2)教室のムード作り
効果的な授業には、教室に前向きな雰囲気があることが必要です。しかし、それは当初から用意されているわけではありません。生徒との相互理解を深めるなかで、ということは、教師もまた、英語にかける思いや、自分が生徒だったころの英語学習などを積極的に話してやり、英語や自分に関心を持ってもらうように努力する中で、次第に育成していくものなのです。生徒に迎合したり、逆に、教師の権威を振り回したりせずに、友好的でかつ責任のある態度を持って接することが大切です。特に、孤立している子には、まず、教師が知り合おうとする姿勢を示し、それがクラス全体に広がることを期待します。

■まとめ
指導法の改善とクラス・コントロールは一体だということがお分かりいただいたと思います。一度に完璧な授業は期待せずに、ワンステップずつ、着実に力を伸ばしていけるように、見守っていきたいものです。
第1期の6月末までは、指導法については挨拶、復習、導入までに改善のポイントを絞り、コントロールに関しては、生徒の名前を覚え、個人的な対話を増やしてクラスに明るい雰囲気を作るという目標を指定し、それまでの取り組みをポートフォリオに記入し、全体講習の場で発表します。また、各学校の指導教員にも期ごとの目標を通知し、その点に集中して指導してもらうようにします。第2期には、第1期で達成できなかった点も含めて、教科書本文の指導と言語項目の定着を改善のポイントにし、コントロールでは、いろいろな学習形態を取り入れ変化をつけることを目標にします。第3期では、まとめの言語活動と評価、自己表現活動への積極的な参加などを改善の目標に設定することが考えられます。
このようにして、一通り指導法やコントロールの方法が習得できた段階で、今度は授業全体をビデオに撮り、問題点を自分で発見し、それに対する対策を講じて実践するミニ・アクション・リサーチを実施します。その結果を発表すると同時に、自分の英語指導に対する考え方が4月からどう変化したかを記録させて、次年度の目標と具体的な方策をレポートさせて初任研修を終わります。

AR支援ネットワーク通信(2)「Personal theory からの脱却」

松山大学  佐野正之

■はじめに
前回の通信(1)では,教師が授業に責任を持って自主的に授業改善を目指すためには、
「リサーチのownership」を感じながら研修に向かうことが大切で、ARもそのための有力な手段だと説明しました。それでは、ARを取り入れさえすれば、万事がうまくいくでしょうか。決してそういうわけではありません。まず、「授業をきちんとするには、リサーチ(=原因と結果の関係を深く考え、論理的に追求する)が必要だ」という認識がなければなりません。ところが、これは決して容易なことではありません。なぜなら、それは自分の信じ込んできたpersonal
theory を捨てることにつながりかねないからです。Personal theory
が全部いけないというわけではないのですが、時代遅れになったり、誤って理解していることがあるので、それを見直すことが必要なのです。

■Personal theory とは
人それぞれに、personal theory(自分なりの指導法についての考え方)を持っています。Theoryとは何でしょうか。「OO教授法」という場合、その教授法に特有な「言語観」「学習観」「指導観」があります。たとえば、Audio-lingual Approachでは、「言語観」は表に現れた言語の組み立てを重視し、「学習観」は組み立ての基礎から繰り返しの練習で身につけさせ、「指導観」は、習慣形成を外部からリードするという発想があります。それらが結び合ってひとつの教授法になっているのです。一般の教員は、自分の教授法を詳しくは意識していません。ところが、無意識のうちに、「英語の基礎は文法だ」という言語観や、「文法習得にはドリルが大切」という学習観や、「教師の仕事は文法を分かるように説明することだ」という指導観を身につけているのです。これがpersonal theory です。

では、このpersonal theoryはどこからきたのでしょうか。多くの場合、それは英語の知識と一緒に身につけたものなのです。中学や高校で英語を学習したときに、気づかぬうちに、英語の指導法までも習っていたのです。これは無意識的ですが、隠れたところで強力に作用していて、「これこそ、最も自然な、正しい指導法だ」と信じ込ませてしまいます。ですから、文法・訳読式で教えられた人は、途中でよほどの出来事があって改信(文字どうり、宗教=信じてきた価値観を変えることを)しない限り、コミュニケーション中心の授業は不自然で、無理な指導法に思えてしまいます。これは英語力には関係ありません。いかに英語が達者でも、personal
theory に支配されている限り、その人の授業は相変わらず、英文和訳を中心に進むことになるのです。ですから、自分のpersonal theory を意識的に捕らえ直し、もし、それが現在の英語教育の目標に照らして適切でなければ、personal theory から脱却し、客観的に「自分の授業をリサーチすること」ができる教員を育てることが、教員研修の重要な目標になるのです。

■講義だけでは不足なわけ
Personal theoryからの脱却は、何もARをしなくとも、講義を聴いて自分の思い込みの誤りに気づけば、それでよいという反論があるでしょう。しかし、考えてもみてください。あなたは喫煙の害を説かれただけで、タバコがやめられますか。メタボの危険性を告げられたら、すぐに晩酌がやめられますか。やめられる人もいるでしょう。特に、自分でうすうす健康に不安を感じていた人には、これが引き金になって改善へと進むことはあると思います。しかし、大部分の人は、知識は与えられても、それを自分に都合よく解釈して、結局はこれまでの悪習を断ち切れないのです。たとえば、メタボの危険性を指摘されて久しい私は、「確かにメタボは悪い。でも、医師の話しでは、ストレスもまた、メタボ以上に健康の害になるということであった。だったら、ストレス解消のための酒はless
evilだ。飲みすぎはよくはない。でも、どれくらいが飲みすぎかは個人差がある」と手前勝手の解釈をして、これまでと変わらぬ生活を送るはめになります。
同じことが、優れた授業実践を見たときにも起こります。「生徒が優秀で、やる気があるからできたことで、自分のクラスでは無理だ」と自分の都合のよいように解釈してしまうのです。講義にしても、モデル授業にしても、そこに受講者の問題意識との関わりがなければ、「馬の耳に念仏」で終わります。これを防ぐには、事前に自分の授業を振り返って問題意識を持たせてからインプットを与え、具体的には、多様な形のモデル授業を見せ、それぞれの背後にある発想や、自分の実践に生かせそうな箇所を選ばせ、実施した場合に期待される効果や問題点などについて徹底的に同僚と話し合わせることによって、自分の偏向に気づかせると同時に、解決の糸口を探らせることが大切です。

■まとめ
「リサーチのownership」という視点からすれば、ポートフォリオもまた役立ちます。授業の問題点について、先輩教師と話しあうことで自分の偏向に気づき、実践の過程で生徒の変化だけでなく、自分の変化も記録していくことによって、personal theory からの脱却が可能です。しかし、メンターからの支援が恒常的に得られない状態では、「振り返り」だけでは周囲が見えなくなり、社会との関わりを見失いがちです。適切なアドバイスが期待できない場合は、生徒の力も借りながら自分で対策や実践の評価ができるARのほうが実際的です。このような考えから、次回は、初年者研修と10年次研修を取り上げ、それぞれにアクション・リサーチをどのように位置づけるかを説明します。

Wednesday, September 16, 2009

AR支援ネットワーク通信(1) 「授業とリサーチ」 

松山大学  佐野正之

■はじめに

皆さん、今日は。この度は、AR支援ネットワークに参加いただきありがとうございます。「ネットワーク通信」を始めるに当たり、いくつかお断りしておくことがあります。まず、この通信で流す内容は、アクション・リサーチを支援してきた経験から私が大切だと思うことを説明するだけのことであって、それがそのまま、皆さんの置かれた状況で作用するかどうかは分かりません。すなわち、私が自信たっぷりに断言しても、それを鵜呑みにせず、自分の状況に置き換え判断していただかなければならないということです。皆さんの判断があってはじめて、私の説明は意味を持ってくるのです。

第2点は、私の主張が学会の主流を占める理論や、文部科学省の説明と矛盾することがあるだろうということです。と言っても、私は学会や文部科学省に恨みがあるわけではありません。ただ、学問的真実を追求する研究者の立場や、政治状況にも配慮しなければならない文部行政の立場と、いきいきとした教育実践に取り組む方策を追求するアクション・リサーチとでは、おのずと立場が異なり、見方が違ってきます。その結果、批判的な論を展開することもあります。この点もまた、ご自分の教育観から判断してください。この通信は、私からの皆さんへの問いかけであり、対話の糸口にすぎないのですから。

■なぜ、ARなのか

それにしても、なぜ、私は「研修にアクション・リサーチを!」とこだわるのでしょうか。実は、私は「アクション・リサーチ」にこだわってはいません。ポートフォリオでの振り返りでも、発想を大切にする授業研究でも同じ意味があると思っています。私がこだわるのは、「教師の主体性」なのです。授業の問題を自分の責任として捕らえ、解決しようと自主的に努力するのでなければ、また、英語の知識や技能だけでなく、生徒の人としての成長にも関わろうとする教師でなければ、「プロの教師」とはいえないと私は思うのです。極端に言えば、授業の責任が取れなければ、一人前の教師ではないのです。ということは、そのための教員研修は、自分が選んだ問題の解決を探ることを中心にすべきです。「リサーチのownership」が確保されない研修は、教師の育成には欠けた部分があるのです。

この点で参考になるのは、「つくば研修」です。全国から優秀な教員を集め、「つくばプリズン」と呼ばれるほど集中した合宿研修を、きら星のような講師陣をそろえて実施したことで有名です。皆さんの中にも、参加された方が居られるでしょう。研修の終了時には、はちきれそうな情報と改革の情熱に燃えて現場に戻られたと思います。だが、この思いは、実際に日本の英語教育を変えたでしょうか。確かに、各地で英語教育のリーダーとして活躍されている方は多くおられます。しかし、その人たちの言動に、「つくば研修」で得たことがどれほど生きているでしょうか。皮肉な見方かもしれませんが、実は、それほど生きはいないのではないかと私は思います。理由は、研修で与えられた情報やテクニークは、受講者にとっては外から与えられたものであり、当然、よほどの偶然が作用しない限り、「リサーチのownership」が持てなかったからです。「自分の問題意識」に基づかないかぎり、情報も情熱も、現実の壁に囲まれるとくすぶりながらも消えてしまうのです。

■県レベルでは何ができるか

もし、それが本当なら、もっと劣悪な条件で実施しなければならない県レベルの初任者研修や10年次研修はどうすればよいのでしょうか。「法律だから仕方がない」と、成果を検証もせずに同じ計画で進めてよいのでしょうか。確かに、時間も集中度も講師も、「つくば研修」とは比較になりません。しかし、県レベルの研修は、「つくば研修」にはない長所を持っています。それは、「授業しながらの研修」だということです。具体的には、自分の授業の改善を目指して、問題を発見し、自分なりの対策で解決を目指し、それを実際に教室で試すことで、「リサーチのownership」が持ちやすいのです。この長所を生かさなければ大きな損失です。さらに、「授業しながらの研修」だからこそできる訓練があります。それは、「授業をするには、リサーチが欠かせない」という意識を徹底することです。

「授業しながら、リサーチなんて!」と思われるかもしれません。校務と授業で精一杯なのに、その上、研究者がやる「科学的リサーチ」などできるわけがありません。ただ、「リサーチ」という言葉は、もっと広い意味でも使われていて、たとえば、Stern(1983)
は「(原因や結果を考えながら)ものごとを論理的に追求する作業」と定義しています。この意味からすれば、「今日は成功だ!」「生徒が乗らず失敗だ!」と無責任な評価を繰り返す教師は、リサーチをしているとは言えません。逆に、「今日のリスニングはうまくいかなかった。導入が間違っていたのか?明日は、そこを変えて、もう少し発音練習にも時間を掛けてみよう」と考える教師がいたとすれば、それは授業をしながら、リサーチをしているのです。

■まとめると

アクション・リサーチの「リサーチ」は、科学的なリサーチではなく、「結果と原因を考えながら、論理的に問題を追及する」という意味でのリサーチです。計画を立てて授業を実施し、指導中に、また事後に振り返り、反省を次に生かすことができれば、ARで一番重要な部分を行っていることになります。だから、「授業をすることは、リサーチすることだ」と断言してもよいのです。特に、初任者研修ではこの認識を強調することが大切ですし、10年次研修では、体験を振り返り、問題を分析して、解決方法を共同で探ることでこの認識を再確認することが必要でしょう。

次回の通信では、この2つの研修の特徴とそこでのアクション・リサーチの進め方を説明することにします。その後、松山大学で私が実施しているゼミの様子を来年の1月まで回を追ってお知らせしますので、ARについて理解と同時に、教員研修にどう生かすかを考えて欲しいと思います。そして、「研修のAR」ができる主事になって欲しいと思います。皆さんからの質問やご意見をお待ちしています。

それでは、また。

AR支援ネットワーク通信 バックナンバーの掲載

これまでに配信してきた通信のバックナンバーを掲載します。まずは、第1部「教員研修とアクション・リサーチ」(2008年7月~9月、1号~5号)を順次掲載していきます。

Sunday, September 6, 2009

AR支援ネットワーク通信 第3部を配信中

「英語教員のためのアクション・リサーチ支援ネットワーク」では、これまで登録メンバーを対象に、メールでの通信を配信してきました。

 第1部 「教員研修とアクション・リサーチ」 1号~5号
 第2部 「ARS@MR(松山大学ARゼミ)の実践報告」 6号~23号

現在、第3部 「小学校英語活動」を配信中です。第3部の最終的なゴールはARを使って、小学校英語活動を改善する取組を進めることです。しかし、まだ小学校英語活動自体の実践が少なく、課題や不安を抱える方が多いことから、小学校英語活動の効果的な進め方について、佐野先生から問題提起していただきながら、小学校英語活動の進め方についての考え方や小学校の先生方の指導力を高める校内研修の在り方などについて、学んでいます。

関心のある方は、ぜひ、メンバー登録していただき。一緒に小学校英語活動について考えていければと思っています。

 登録はこちらから

Sunday, January 11, 2009

「謹賀新年と日本の英語教育」

松山大学  佐野正之

おめでとうございます

みなさま、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
昨年の6月から通信を開始しましたので、丁度、半年が経過したことになります。通信が、アクション・リサーチの理解や実践に少しはお役にたったでしょうか。こちらとしては見えない相手に呼びかけているので、それなりに苦労もありますが、反面、アウトプットを期待するにはその何倍ものインプットが必要だと理解しておりますので、今年も私の考えや多くの情報を通信でお知らせしたいと思っています。そこから、よりインターアクティブな関係が構築されることを期待して、年頭の挨拶といたします。

初売りの福袋:「なぜ、アクション・リサーチなのか」
 さて、今年の初売りは、昨年11月29日の「アクション・リサーチ交流会」で私がした基調講演の紹介です。これは年頭の「福袋」ですから、当然、中身が多く、必ずしも、欲しいものだけ入っているとは限りません。ご了解のほどお願いいたします。

*これでよいのか日本の英語教育
最近読んだ論文(斎田.2008.JACET Journal.No.47)に興味深い調査結果が載っていました。日本の大学生の平均的な英語力を「ヨーロッパ共通参照枠」で検証すると、「文法力」や「語彙力」は辛うじてヨーロッパの高校生なみだが、「読む力」「書く力」は中学生なみ、「聞く力」に至っては小学生なみだというのです。なんとも厳しい結果ではありませんか。ただ、「聞く力」については、音声が聞きなれた米語ではなく英語だということ、また、機器の操作で、聞くことに集中できなかったなどの事実を勘案する必要はあるでしょうが。
また、被験者は一つの国立大学の学生なので、結果を一般化して「日本の大学生」として論ずるのは不適切だという批判も当然可能です。だが、この学生たちの平均的な語彙サイズが3,700語程度であり、しかもきれいな正規分布をしていることから、日本の大学生の一般的な英語力とみなして、大きな違いはなさそうです。とすると、日本の英語教育は、これでよいのかとあらためて考えさせられます。不振の理由はどこにあるのでしょうか?

*不振の理由
 理由は複合的ですが、まず、指摘すべきは、日本の英語授業は、本音では「受験のための英語」なので、「コミュニケーションのための英語力」は育たないのということです。受験のために暗記した知識は、受験が終われば賞味期間切れとなり、急速に失われます。だから、通常の英語授業を変えないかぎり、本当の英語力は伸びないのです。
 第2の理由としては、文部行政の貧困があります。中学の週3体制、非常識なクラス・サイズ、過重な雑務で疲弊する教師、進学競争のプレッシャー、小学校英語活動をめぐる迷走などなど、無責任な教育行政も不振の大きな理由です。
 第3の理由として、教員養成が挙げられるでしょう。およそ「プロ」を育てる体制ができておらず、必要な英語力、授業力、授業改善力を育ててから現場に送りだすというシステムがないまま、「免許状更新」など、まさに「割れ鍋に閉じ蓋」でしかありません。
 第4の、最も重要な理由は、政治の混迷です。将来のvisionがないまま、経済利益優先の自由化に突っ走り、それが社会的格差を生み、弱者切捨てにつながり、本来最優先すべき教育を軽視する風潮を増長し、結局は「学校bashing 」の原因となっているのです。この負の循環を断ち切るには、国民が、なかんずく教師が、未来への展望を持たなければなりません。その意味では、フィンランド教育は格好の鏡となります。

*フィンランド教育を鏡に
 私は「フィンランドは学力世界一」という言葉に酔っているわけではありません。この国が、日本の「不振の理由」を見事に映し出してくれるからです。まず、見習うべきは明確な国家的なvision です。フィンランドはアメリカ主導の「国際化」と一線を画し、「もうひとつの国際化」の旗手と自国を位置づけています。「もう一つの国際化」というのは、経済的利潤だけを優先するのではなく、人権、平等、文化、環境など人類共通の価値を守るという立場です。「国際化」に含まれる経済的競争と民主主義のどちらを優先するかと言い換えてもよいでしょう。日本はアメリカの尻馬に乗り、経済の自由競争と新保守主義の政策を進めてきました。フィンランドは国際的な競争力を維持しながらも、多文化と共存・協働する姿勢を国是とし、その原動力を教育に求めてきました。PISAの学力テストも、煎じ詰めれば、協働して国際問題を解決する地球市民の育成を目指したものなのです。

 ですから、フィンランドでは「教育だけが国を救う」という信念のもと、教育立国を目指し、いろいろな制度改革を実施してきました。すなわち、教育に関る費用は小学校から大学まで全額免除、入学試験や全国共通学力テストは廃止、少人数クラスの徹底、落ちこぼれのない教育、などなど、現場の裁量権を大幅に増やし、管理は必要最低限にしてきました。PISAの成績が良いのも、下位生徒の成績が他国と比してずば抜けて高いからです。この点については、福田誠治『競争やめたら学力世界一』(2006:朝日新聞)参照。

 フィンランドの教員養成のシステムも、また、優れています。もともと、高校生の憧れの職業No. 1 ということもあり、優秀な人材が教員を志望することに加えて、500 時間もの教育実習を計画的に課し、大学の講義と実習校のメンターの協力で、授業力、授業改善力を徹底的に鍛えるのです。また、修士号が条件なので、research-based teacher education が見事に実現し、アクション・リサーチは、その中核をなしています(Jakku-Sihvonen. R. 2008. Education as a Societal Contributor: Peter Lang. p 156-7)。

では、学校ではどのような指導法が用いられているのでしょうか。もともと、英語に対する興味が強い社会的環境や、小学校3年生から英語が必修だということもあり、高校の卒業生なら、英語で十分コミュニケーションできる能力が当然だとされています。授業はタスク中心で、考える、相互交渉する、発表する、書くことが重視されます。具体例は日本からの留学生が高校の英語授業でどのように変身したかを書いた手記(実川真由美『受けてみたフィンランド教育』2007:文芸春秋)を参照してください。 

このように見てくると、フィンランドは国家戦略に基づいて教育政策があり、それを実現するための教師養成が実施され、授業実践がなされていることが分かります。では、前提条件が全く異なる日本では、どうすればよいのでしょうか。

*アクション・リサーチは日本を救えるか
 では、私たちは何ができるのでしょうか。国の戦略や教育政策は、一教師の手に負えるものではありません。しかし、私たちにもできることがあります。それは、本来なら教員養成課程で身につけるべき授業力、授業改善力が自分に備わっているかチェックすることです。もし、不足を認識したら、自力でカバーする努力をすべきです。それが「プロの教師」の責任だと自覚し、自律した教師となるべく努力することです。その最も容易な方法は、生徒たちを自分の授業改善の研究パートナーと位置づけ、協働して日日の授業改善に努めるのです。この体験は教師の成長に意味があるだけでなく、生徒にも、将来の民主的な日本人として異なる文化の人たちと協働して問題解決にあたる能力、すなわち、intercultural communication competence の育成を助けることにもなります。換言すれば、ARを実践すれば、教師も生徒もそれぞれの可能性を高めることができるのです。

 しかし、アクション・リサーチで問題が全て解決するということではありません。事実、アクション・リサーチの母国であるイギリスでは、ARの質、量ともに近年、落ち目にあることが気になっていました。それが、つい最近、次の記事を見つけました。

 Concerns have been expressed that forms of reflective practice, particularly action research, are being narrowly interpreted and employed instrumentally as a means of realizing government policy aims. (Clayton, S. et, al. 2008. I know it's not proper research, but…Educational Action Research. Vol. 16)
「やっぱりそうか」というのが実感でした。ARの衰退とイギリスの教育の退潮は無関係ではなかったのです(福田誠治『競争しても学力行き止まり:イギリス教育の失敗とフィンランドの成功』(2007: 朝日新聞)。現在では、イギリスに変わり、オランダ、ベルギー、フィンランド、スウエーデンの北欧諸国で、ARは教員養成や現場で利用されています。そして、概して言えば、この国々では教育に対する国民の満足度は高いのです。

 そこで、最終的な質問、「ARは英語教育を救えるか?」への解答です。結論としていえば、目先の利益のためだけにARを利用しても、やがて行き詰まるでしょう。より長期的な視点が必要です。生徒は現状を認識した上で、明日の国際社会を生きる生徒を育むためには、今、自分は何かできるのか、教師としてのプライドを賭けてARを進めてゆかなければなりません。可能でしょうか? Yes, we can! And we must!

シンポジュームでの質問に答える
1) なぜ、アクション・リサーチでは、「仮説」が2個や3個もあるのですか?仮説が1個なら、実験の成功・失敗が仮説の肯定・否定と直結すると思うのですが。
  まず、注意して欲しいのは、ARの「仮説」は、実験的調査で証明したり、否定したりする「仮説」とは異なり、授業改善をするための「対策」と呼んだほうが実態に近いということです。具体例で説明しましょう。
 「内気な生徒が多く、話すことを苦手とするクラスで、ALTとの対話を1分間持続できる生徒を増やすには、どのように指導すればよいか」という問題を扱ったとします。実態調査をすると、少なくとも次のような要因が関連していることが分かるでしょう。
(1) 情緒的な要因(笑われるからいや、恥ずかしい、ALTだと緊張する、などなど)
(2) 語学的要因(単語が分からない、文法に自信がない、発音が苦手、などなど)
(3) 体験的要因(外国人と話したことがない、何を話したらよいのか分からない、話しの切り出し方がわからない、などなど)
とすれば、このリサーチの成否は3要因のすべてに関連しています。ですから「仮説」が複数とならざるを得ないのです。ただ、「仮説」のすべてを同時に実施するわけではありません。当初は(1)の仮説を、たとえば「弾丸インプット」で対応し、話す抵抗が減ずることに精力を集中し、それがなんとかできたことを確認したら、次ぎの仮説、「文型の導入は自己表現活動に結びつけて行う」に集中し、1) 2)が一応できたことを確認してから、第3の仮説、「スピーチを用いたグループ活動で、話す体験を多くする」に努力を集中するのです。
 
2)「受験英語は悪」のように言われると、受験生を指導する立場にいる者として納得できません。「ARは生徒の実態を直視する」といいながら、合格したい生徒の希望に応えようと努力している教師を否定するのでしょうか。
 まず、「受験英語」は日本の英語教育の一部である以上、それを無視しては受験校でのARは不可能です。私が否定しているのは、受験に合格することが最終目標となっている授業です。すなわち、受験に受かるためのテクニークや英語力を付けることが目標となっている授業だとしたら、それはもったいないと言いたいのです。なぜなら、受験に合格することと、コミュニカティブな授業を展開することは概ね矛盾しないからです。少なくとも、センター試験のレベルでは、教師の工夫で両立は可能だと思います。
 その一方で、英文和訳や和文英訳の入試を課す大学が存在することも事実です。しかし、こうした大学に合格させることが目標だとしたら、予備校と全く変わらない授業になるでしょう。それで「未来を生きる力」を生徒に与えることができるでしょうか。目先の入試のために、「英語嫌いで、英語力も低い生徒」を大量生産しているとしたら、教師としてのプライドはどこにあるのでしょうか。受験を越えても意味のある英語力を伸ばすのが教師の任務だと私は主張したいのです。

Sunday, January 4, 2009

新年のご挨拶 2009

新年あけましておめでとうございます。

日本の英語教育をなんとかしたい。そのための第一歩として、マンネリ化した教員研修を変えたい。そのような思いから、私たちは昨年7月に「AR支援ネットワーク」は立ち上げました。

これまでも、魅力的な教員研修はたくさんありました。すばらしい実践、精緻な理論、楽しいお話。参加者は、多くのことを学び、授業に生かしてきました。これからも、こうした学びは提供し続けるべきだと思います。

一方、それだけでは、根本的には授業が変わらないことも見てきました。一人ひとりの教員が、それぞれの教室で、自らの問題意識に基づいて、結果と原因を考えながら、論理的に問題を追及していく研修が必要なのです。

この点について『AR支援ネットワーク通信』第1号(2008.7.1配信)では次ぎのように述べています。

「極端に言えば、授業の責任が取れなければ、一人前の教師ではないのです。ということは、そのための教員研修は、自分が選んだ問題の解決を探ることを中心にすべきです。「リサーチのownership」が確保されない研修は、教師の育成には欠けた部分があるのです。」

私たちは教師をリサーチャーにしようとしているのではありません。「生徒たちが、目を輝かせて、英語に取り組む姿をみたい」という一途な思いで、がんばっている先生方が、全国にはたくさんおられます。そのような先生方を、応援していくには、研修の立案や実施に携わっている私たちは何をすればよいか。今年も、「AR支援ネットワーク通信」を通じて、一緒に考えていきたいと思います。

今年も、よろしくお願いいたします。

2009年元旦

アクション・リサーチ支援ネットワーク
  佐野 正之 高橋 一幸 金森 強 長崎 政浩

Saturday, December 13, 2008

報告「アクション・リサーチ交流会 (200811.30開催)」




はじめに

当初の計画からすると、今回はARS@MUのメンバーのARへの取り組や、支援の様子をレポートするはずでしたが、今回と次回の2回に渡り、11月29日に松山大学で行われた「アクション・リサーチ交流会」の様子と、そこで私が行った基調講演の概要をお知らせし、その後、計画に戻り、ARS@MUでのARや支援の具体例を紹介し、また、他のARのレポートと私の解説を紹介することにしたいと思います。さっそく、交流会の様子から。

参加者の人数と全体的な感想

 ARS@MUのメンバーが指導主事を含めて27名、他の参加者が県内から22名、県外からは横浜の会から6名のほかに、高知、広島、京都、三重、埼玉から、総勢80名の参加者を得ました。主催者の予想を超えた人数でした。また、「支援者の会」からも、山形、福島、石川から、ARへの取り組みや受講者の感想、今後の抱負などを書いた挨拶をメールで寄せていただきました。会場で紹介させていただきましたが、参加者には大きなインパクトがあったようです。全体的な感想としては、次のようなものがあります。

 *全国に真剣に授業改善に取り組んでいらっしゃる先生がこんなに多いことを知ったことが大きな発見でした。
 *まずは、こんなにも多くのARの実践者の先生がいらっしゃることに感激しました。一人では継続が難しいと感じているので、ネットワークを作り、自分の地域でも「ARの会」を作りたいです。 
 *遠くから、多くの先生がお見えになっていて、感激しました。
 *今回の研修を企画・運営していただきありがとうございました。とても勉強になりました。今後、このような会があれば、是非また、参加したいと思います。
 *内容が大変よく、来てよかったと思いました。現場の忙しさに流されて、滞っていたアンケート調査を再開しようというエネルギーをいただけたことが、今回参加させていただいた一番の収穫でした。

当日の流れに沿ってー1(開会から基調講演まで)

1)開会の挨拶:鈴鹿愛媛県指導主事から、ARS@MUと横浜の会の交流を目的にしたインフォーマルな会なので、相互の交流を深めて欲しいと会の趣旨が説明されました。
2) 歓迎の言葉:金森先生から、歓迎の言葉と同時に、松山大学では、来年度の大学院の行事として、小学校英語活動の研究とARの研究を毎月1回開催する予算が確保できたので、この会を継続、発展させていきたいという決意が語られました。
3) 「AR支援ネットワーク」からの3通のメールの紹介。
4) 基調講演:日本の英語教育の低迷は、国の政策、教員養成、現場の実践が場当たり的で筋が通っていない。その対極にあるのがフィンランドで、そこで行われているresearch-based teacher education やARへの取り組みから学ぶことが沢山あるのではないかという趣旨の話をしました。詳細は次回の通信で報告します。

当日の流れに沿ってー2(研究発表)




2会場に分かれて、横浜の会から4名、ARS@MUから2名の発表がありました。タイトルは、以前にお知らせした通りです。いずれの発表も、参会者には大きなインパクトを与えたようで、次のような感想があります。  

 *一つの会場でやって欲しかった。聞きたい発表ばかりだったから。
 *各先生の現場に応じた取り組みが紹介され、自分の課題や悩みと重なり、とても親近感をもって発表を聞くことができました。ありがとうございました。
 *すばらしい内容の充実した発表ばかりで、半日ではなく、少なくともまる一日、できれば2日かけてやって欲しかった。
 *最近の自分の授業を振り返る機会になった。自分と向き合って、もっと改善していかなければならないと思いました。
 *どのクラスにも改革のチャンスはある。教師の取り組みで違いが出てくることを今日の発表を聞いて再認識できた。
 *本当の振り返りや反省は、目標を決め、仮説を設定することでやっと本物になることを痛感した。自分の取り組みの甘さを嫌というほど感じさせられた。
など、発表に感動した人が多くいました。
 この発表のうち、ARS@MUのメンバーのARを選び、経過を時系列で紹介し、折々に私がどのようなアドバイスを与えたかを、「通信14 号」でお知らせします。 













当日の流れに沿ってー3(講演とミニ・シンポ)




1) 長崎先生講演:高知の悉皆研修で5年間に渡りARを実施してきた成果を、教員の指導力のどの部分にARの効果が現れたという視点から、アンケート調査の分析結果を踏まえて解説されました。5年間の実践の重みを感じました。
2) 高橋先生講演:教員養成の歴史をみるとteacher trainingから、教師の主体性を認めたteacher developmentに変わりつつあり、そのことは新技術をただ溜め込んでゆくassimilation ではなく、自己変革をともなうaccommodationを意図しなければならない。このことは、免許状更新の講座でも必要という提案は説得力がありました。

3) ミニ・シンポ:金森先生の司会で、参加者の質問に私が答える形で進行しました。「受験英語とAR」、「ARの仮説はなぜ複数あるのか?」の2点に話しが集中しましたが、時間不足のため、十分ではありませんでした。この2点については次回の通信で説明します。



 この部分の感想としては、

*尊敬する先生方がいつも変わらぬ熱い想いをもって活動されている姿を見ると、大変力になりました。
*生の大学の先生の話しが聞けたこと、普段は考えないような、でもとても大切な話を教えていただいて、自分の知識が広がりました。
*普段の取り組の中での疑問に解答が見つかり、パズルが埋まっていくようでした。ありがとうございました。
*フィンランド教育やresearch-mindedであることの重要性、また、アクション・リサーチの理論や調査方法について理解が深まりました。
*国の文部行政が現状を見直し、一本筋を通すことができないなら、せめて自分が関る生徒には、将来を見据えた教育をしたいと思いました。

総合的な評価と来年度のこと

 この交流会は、もともとは、横浜の会のメンバーを松山大学に招き、発表を聞いて、愛媛のアクション・リサーチのレベル・アップを意図して計画したものです。ところが、「それだったら愛媛県の教員一般にも開放しようか」「愛媛県以外の人も参加できるようにしようか」「だったら、支援者の会にも知らせようか」というように、次第に規模が広がったものです。しかし、対象者の規模は広がっても目的は変わらず、参会者たちの交流によって、ARの可能性を多くのひとに知って欲しいというものでした。この点に関しては、当日の参会者の様子、発言内容、感想、また、懇親会での会話などを総合すると、予期した以上の成果を挙げたのではないかと思います。愛媛県の教員の中には、「来月からARS@MUに参加させて欲しい」という人も出てきました。

 会の成功に気を強くしたからというわけではありませんが、私としては、ARに興味を持っている人たちが年に一度集まり、情報を交換するばかりでなく、互いにエールを交換するハレの場(=祭り)を持つことは意味があると思います。感想からも読み取れるように、現場は決してARにfriendly ではありません。そんななかで、ARをする、しないは別にして、教師としての誇りとresearch mind を持ち続けることは容易なことではなく、とても勇気がいるし、また、周囲の励ましが必要です。その一助として祭りの場を用意し、交流を深める意味は大いにあると私は思います。

 これは、まだ、私の個人的な意見ですが、関係者と相談して実現に努めたいと思っています。皆さんのお考えはいかがでしょうか。今年の反省の上に立って、さらに充実した会にしたいと考えていますので、興味のある方は参加を検討ください。事前の準備をしっかりとして、参会者のニーズにそうようにしたいと願っています。
 それでは、このメールでは交流会の概要をお知らせしました。次回の通信は、新年のご挨拶と一緒になりますが、交流会で私が行った基調講演の内容を紹介し、それに関して参加者からでた2つの質問、すなわち、「ARではなぜ仮説が複数なのか」「受験英語は駄目なのか」の2点について私見を述べたいと思います。乞うご期待。

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「AR支援ネットワーク通信(12)」(松山大学 佐野正之)からの引用

Saturday, December 6, 2008

アクション・リサーチ交流会2008 in 松山



2008.11.30(土)、初めてのアクション・リサーチ交流会を開催しました。当日は、各地から、80名を超える熱心な先生方の参加があり、熱気ある交流会となりました。交流会のレポートは、後日掲載します。

Tuesday, November 4, 2008

私のアクションリサーチ File #2-2 山田 憲昭先生(高知西高校)



 前編において、私とアクション・リサーチ(以降AR)の出会いについて、個人的な思いを含めたレポートを書いた。この後編では、昨年度(2007年度)高知西高校で実施したAR事例を具体的に報告したい。
まず、私がAR対象として選んだのは、高知西高校普通科・2年生(39名)のクラスのライティング(2単位)の授業である。4月当初のスタディ・サポート及び6月の中間考査によると、そのクラスの英語力クラス平均値は同じ学年の中で最も低いという結果であった。また、家庭学習の時間が少なく、平日で10分程度であった。さらに、1年次からの成績不振者5~6名存在し、授業に対する好感度も低く、「英語嫌い」が目立っていた。一方、4~6月の授業観察では、教員の話を静かに聴き、ノートも一応取る、いわゆる「まじめに授業を受ける生徒集団」という一面もあった。

 このような背景を踏まえて、このクラスの生徒たちの英語力の向上のために、以下のようなリサーチ・クエスチョン及び仮説および実施計画を立て、7月以降には授業実践を開始した。

リサーチ・クエスチョン 英語に対する苦手意識が強いクラスで、生徒が自信を持って授業中の活動に参加し、「英語がわかる・できる・楽しい」という実感が持て、基礎的な英語力を定着させるには、どのような指導が効果的であろうか?

仮説1―授業開始後すぐに、簡単な英語ゲームを実施することで、英語学習の雰囲気を向上させることができるだろう。

仮説2―授業中に行う教科書中の課題Task1・2・3をハンドアウト化して、取り組みやすくすることで、生徒の授業中の活動が活性化するだろう。

仮説3―月1回テーマを設定しての英作文課題「月一課題」を発展・改良し、模試や入試など教科書以外のライティング課題を導入することで、基本的な英語力の大切さを理解させ、家庭学習を活性化させることができるだろう。

具体的実践を通じて、まずわかったことは、仮説1の英語ゲームが授業にメリハリを作り、多くの生徒に受け入れられる活動であるということであった。しかし同時に、授業が予定通りに進まないという弊害も生じた。そこで考えたのは、仮説2のハンドアウトを改良し、生徒の授業中の英文筆写時間を短縮することができる形式(穴埋め・並び替え)に変更するということであった。時間短縮の結果生じる「浮いた時間」が英語ゲームのための時間(約5~7分)ということである。英語ゲームの結果は、平常の成績に加味することとした。ゲーム内容は、教師が選んだ教科書の既習語1~2語を、1分程度の時間内に、簡単な英語を使ってペアの一方が説明し、もう一方はその説明を聞いて語を言い当てるというものであった。仮説3については、残念ながら時間の都合で十分に取り組めなかった。

 この間の生徒の変容には、指導者の私には大きく思えた。4月当初は、緊張感はあるものの、活動的・協力的でなく、英語学習に自信がない様子の生徒が目立っていた。しかし、9月~11月に仮説1・2による「英語ゲームの導入」と「ハンドアウトの改良」を実施することで、生徒間に次第に打ち解けた雰囲気が生まれた。調査はしていないが、ペアで英語ゲームを行うことがそういう雰囲気が促進した可能性もあると思われる。また、11月に実施したアンケート調査では「英語学習の楽しさ感・好感度」の上昇が見られ、12月に実施した後期中間考査では、6月に55.1点であったクラス平均点が59.9点にまで向上した。徐々に生徒に「授業を楽しむ姿勢」、「授業に参加する自信」のようなものが芽生えてきたように感じた。

 実は、4月当初、対象クラスが2年生7クラス中最も英語力が低いクラスだとわかり、私は少し不安を抱いていた。しかし、6月の中間考査後、アンケート調査を実施し、「英語授業に好意的」「成績を何とかしたい」と考えている生徒が3分の1程度存在しているという事実を知り、「この3分の1の生徒の力を借りて、授業を改善し、彼らの英語力をプラス方向へ向かわせることができるのではないか」と徐々に思うようになった。不安を押し殺しながら実践を継続し、ARを開始して1ヶ月を過ぎた10月頃から生徒が積極的に授業に参加し始めていることに気付いた。生徒の変容が目に見えてわかるようになり、嬉しく感じる自分がいた。教員としての喜びが、生徒の成長とともにあることを改めて認識した。

さて、最後に、今回のARで実施した種々のアンケート調査で見られた生徒の学習動機と学力向上に関わる重要な知見を報告したい。

アンケート調査によると、仮説1・2を実施することで、授業を「好きである」「まあまあ好きである」と回答した生徒が37.1%(7月)から65.8%(11月)にまで向上した。肯定的に回答した生徒の多くは、その理由として「わかりやすい」「楽しい」「おもしろい」「雰囲気がいい」「勉強になる」「ミステリー・ワードが好き」等を挙げた。さらに、11月時点で81.5%の生徒が、英語ゲームは英語力向上に「かなり役立つと思う」「まあまあ役立つと思う」と回答した。生徒たちは、その理由として「説明の仕方を学べる」「表現力が向上する」「単語を覚えられる」等、自分自身が役立ったと実感できた様々な理由を記述式で回答したが、それらは私の想定をはるかに超える内容であった。

これらから言えるのは、単にfun activityとしてゲーム活動を授業に取り入れた経緯はあったけれども、実は
それらのゲーム活動が「英語力の向上を生徒が実感できるような活動」であったことが生徒の学習動機を高めた可能性が大きい、ということである。授業と何の脈絡も発展性も、継続性もないゲーム活動であったならば、果たして生徒のやる気はこのように変容したであろうか。残念ながら、今回のARではこの1種類のゲーム活動しか行わなかったので、この疑問に正確に答えるデータはない。しかし、英語学習の雰囲気を変えることができればそれでいいと考えていた私には、生徒が予想外以上に良い方向に反応したことは本当に大きな発見・知見であった。

英語指導の現場では、ALTとのT・T授業等を中心に、ゲーム活動を頻繁に授業に取り入れているケースが見られるが、そういう先生方には是非「授業の雰囲気作り」や「生徒の注目を即効的に集める」という効果からもう一歩踏み込んで「生徒に英語力が向上しているという実感を与える」という効果を考えたゲーム活動作りにチャレンジされてはどうかと思う。

☆報告書へのリンク (現在準備中)

☆連絡先 (現所属)高知県教育委員会事務局高等学校課
     TEL:088-821-4850
     E-mail:noriaki_yamada@kt5.kochinet.ed.jp

Tuesday, October 14, 2008

ご案内 「アクション・リサーチ交流会2008」 in 松山



アクション・リサーチを実践している仲間が集って、交流を深めます。アクション・リサ-チの意義や醍醐味ばかりでなく、苦労話なども、楽しく語り合いましょう。授業に悩みを抱えている先生、プロとしての力量を磨きたいと思っている先生、多くの人と授業実践を交流したいと思っている先生。気の合った仲間と一緒に参加してみませんか。それでは、松山でお会いしましょう。



日 時: 2008年11月29日(土)13:00~17:00

会 場: 松山大学学生会館カルフール会議室1.2
       JR松山駅から、路面電車循環線で約15分。清水町下車。
       徒歩2分。大学西門から入りすぐ右手。

主 催: アクション・リサーチ・ゼミ@松山大学(ARS@MU)
共 催: アクション・リサーチの会@yokohama(ARCY)アクション・リサーチ支援ネットワーク

内 容:                       

13:00 開 会        愛媛県教育委員会 鈴鹿基廣
13:05 歓迎のことば    松山大学 金森 強

13:15-13:45 基調講演「なぜアクション・リサーチなのか」
                 松山大学 佐野正之

13:45-14:00 発表者紹介(自己紹介と発表内容の概要)

14:00-14:30 AR実践研究発表1 (進行:教室A=高橋 教室B=長崎)

 教室A 「単語集を利用した意図的語彙学習に関するアクション・リサーチ」
                神奈川県立大和西高等学校  小金丸 倫
 教室B 「語彙指導に重点を置いたリーディング能力を伸ばすアクションリサーチ」
                神奈川県立川和高等学校 栗原 清

14:30-15:00 AR実践研究発表2

 教室A 「テレビ会議を通してスピーキングの力を伸ばすアクション・リサーチ」
                藤沢市教育委員会 東 麻子
 教室B 「パラグラフ・ライティングの力を伸ばすためのアクション・リサーチ」
                神奈川県立大和西高等学校 村越 亮治

  (休憩)

15:10-15:40  AR実践研究発表3

 教室A 「基礎・基本の定着で英語を学ぶ楽しさを実感させるAR」
               西条市立西条南中学校 武田志津
 教室B 「教科書の指導とからめたタスク活動によって英語の苦手意識の克服を目指すAR」
               愛媛県立松山工業高校 宮内朋子

15:40-16:05 報 告「アクション・リサーチは英語教員のどこに効いたか」
                高知工科大学 長崎政浩

16:05-16:30 講 演「これからの教師教育と教員研修」
                神奈川大学  高橋一幸

16:30-16:55 ミニ・シンポジウム「参加者の交流とリフレクション」(進行:金森)

    気取らない座談会形式で、佐野先生のコメントを交えながら、発表者の皆さんと
    今日1日の交流会を振り返ります。

16:55    閉 会       愛媛県教育委員会 池田哲也

  ☆懇親会  17:30~ ホテル・サンルート松山(JR松山駅から徒歩2分)
会費 5,000円

参加申込: 申込みの必要はありません。ARに興味のある方はどなたでも歓迎です。参加費は無料です。


☆開催案内ダウンロードはこちらから(pdf)。

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「英語教員のためのアクション・リサーチ支援ネットワーク 」
【主宰】佐野正之(松山大学)

☆お問い合わせ【事務局】長崎政浩(高知工科大学)
masahiro@nagasaki21.com または 0887-57-2105まで

Sunday, September 21, 2008

第4回「授業改善への具体的指針」 高橋一幸(神奈川大学)

 授業改善には、いろいろな方法があるが、教師一人が独力でできることは限られている。より良い授業を目指して、ともに励まし合い切磋琢磨する仲間を見つけることが大切である。「学ぶことは真似ることから始まる」とよく言われる。優れた授業を数多く見て学ぶことは、特に経験の少ない若い先生方には重要である。また、勇気を出して、自分の授業や実践を公開し、他の人々から批評や助言を得ることも大切だ。自己の経験からだけでは視野が広がらないので、英語教育に関する様々な文献を読み、自分なりに消化して授業に取り入れることも忘れてはならない。

 ただ、ここで留意すべきことは、いかに本を読んだり、すぐれた授業実践を見たからと言って、そこに示されているものを自分自身の考えもなく、ただ真似るだけではうまく行く保証はない。対象とする生徒が異なり、指導する教師自身も違うのであるから、うまく行かなくてむしろ当然だと言えよう。「自分の育てたい理想の生徒のイメージ像」と「生徒達の現状(現在地点)」とのギャップの中から、授業改善の目標を一人ひとりの教師が自ら見つけ出し、それを克服するための具体的方法(仮説)を考えて、それを実践しながら、その効果を検証し、もし、うまく行かなかったら、仮説を修正して粘り強く取り組むことが必要である。このような手順をきちんと踏んで授業改善を進める方法が「アクション・リサーチ」である。リサーチと言っても、実験群と統制群に分けて、異なる指導法を実施し、その結果を有意差で数量的に検証するような、現場教員には技術的にも難しく、指導モラル上も実施困難なものでなく、目標意識を持って授業を行いながら、ピンポイントで具体的にその改善を図る、現場教師にすすめたい方法である。

Wednesday, September 3, 2008

第3回 「中・高英語授業セルフ・チェック」髙橋 一幸(神奈川大学)

あなたの授業にこのような傾向は見られないだろうか? 自己点検から始めよう。自分の授業にいくらかでも次の授業のような傾向が見られる場合、また、幸いに自分の授業にはまったく当てはまらない場合でも、以下の授業は何が問題なのか、まずは読者ご自身で考えてみていただきたい。(筆者自身の分析は、本稿末に掲載しておくので、後ほどご確認いただきたい。)

[最近よく観る中学校の授業] 
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教師の与えるゲーム的な言語活動に、生徒たちは楽しそうに元気に参加している。教室は一見活気に満ちている。しかし、生徒に近づき、その発話に耳を傾けてみると、英語のリズムや発音になっていない。英語自体にも誤りが多く、通じない文も多々見られる。

[昔ながらの高等学校の授業]
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教科書の内容理解(表面的な訳読)と教師の文法説明主体の旧態依然とした授業である。ごく少数の指名された生徒は立ってテキストを音読するが、発音も平板なカタカナ読みで、意味の区切りも意識できていないようである。


 いかがであろうか? ここで少し立ち止まって、考えてみよう。
英語教師として、
・「私の理想とする英語授業とは?」
・「私の考える英語学力とは?」
・「生徒たちに育成したい態度とは?」

<中・高英語授業セルフ・チェック―筆者の分析>

[最近よく観る中学校の授業]
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 活動に参加したことのrewardがなく、生徒に何ら変容が見られない。時間数不足もあろうが、生徒たちの興味を引く派手立つ活動に教師が目を奪われ、表現能力の基礎を作るドリルや音読・暗唱などの地道な練習活動(言語活動へのレディネス作り)が指導過程に欠落している。授業は遊びではない。楽しいだけでは授業にあらず。また、内容的もやりがいがあり、力がついているということを実感できる活動でないと、表面的楽しさだけでは生徒の興味・関心も長くは維持できないだろう。
[昔ながらの高等学校の授業]
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 授業に具体的到達目標が見えない。生徒は怪しげな日本語訳はしているが本当に内容を理解しているかも極めて疑わしい。教師の延々たる説明に興味を示して耳を傾け理解できている生徒は少なそうだが、仮に理解できたとしても実践的な表現力や運用力には結びつくはずもない。生徒の表現能力や運用能力は、「表現する場、運用する場自体がまったく与えられていない」ので不明だが、授業でまったく育っていないことは断言できる。生徒は教わっていないこと、訓練していないことはできないものだから。生徒の学力は授業を映す鏡である。

Tuesday, July 8, 2008

第2回 「授業とは、生徒の中に「質的変容」を引き起こすこと」 髙橋 一幸(神奈川大学)

教師の指導と生徒の学習や活動を通して、生徒の中に「質的変容」を引き起こしえたか否か。これが筆者の考える授業成立の要件である。質的変容には、これまで言えなかったことが的確に表現できるようになったなどの「技能」(skill) の変容や、言語や題材内容などについて知らなかったことを知ったという「知識」(knowledge) の変容がある。さらに、技能や知識の変容を通して生じる究極の変容は、生徒たちの日常のものの考え方や感じ方、人との接し方、行動様式などに変化を及ぼす「態度」(attitude) の変容である。ここまで来れば、それはまさに英語「教育」と呼ぶに値しよう。

長期的・短期的視点から、授業を通してどのような変容を生徒に引き起こしたいのか? 看板倒れではなく目標を実現するためには、抽象的な目標を教師・生徒の双方にとって評価可能な具体的活動として設定すること。これが、授業を設計する基盤となる。

指導の鉄則は、レディネスを作ること。

実際の指導では、単位授業にせよ、単元や年間指導計画にせよ、個々の指導過程や活動、1回1回の授業を相互に関連付け、具体的目標(goal)に向かってスモール・ステップを踏んで、無理なく、すべての生徒たちを導く道筋(route)を考えなくてはならない。例えば、1, 2, 3, 4の順序は2, 4, 1, 3ではダメで、1, 2, 3, 4であって初めて効果が上がるのである。指導過程(procedure)や指導計画(syllabus)に、このような説明可能で必然性ある順序が構築されているかどうかを十分に吟味することが授業を設計する上で不可欠なこと、「点として存在する活動や授業を線で結ぶ」ことが肝要である。

Tuesday, July 1, 2008

第1回「理想と現実と諦め」  髙橋 一幸(神奈川大学) 



 生徒たちが目を輝かせ、大きな声で英語を発声し、生き生きと伝達表現活動や自己表現活動に参加する。そのような授業を実現したい。教師であればだれもが願うことである。しかし、その意に反して指導がカラ回りして教師のひとり芝居となって、シラけた沈黙が広がり、まったく無関係な雑談や喧騒のうちに授業終了のチャイムを聞く、といったこともある。そして、心ある教師は自信を失ったり、自己嫌悪に陥ったりするのだが、これは教師として正常な証拠。こういうときに、「こんなできの悪い生徒を教えられるか!」と、授業が成立しない責任のすべてを生徒に転嫁したり、日々くり返される現実への諦めから、問題意識すら麻痺し何の改善意欲も生じなくなれば、教師生命は終わりである。

授業は生徒と教師の双方の努力によって創りあげるもの。生徒が担うべき責任も多いことは事実だが、一人ひとりの生徒が自ら学ぼうとする意欲や態度を育てることが教師本来の仕事であることを考えるなら、プロとしてより大きな責を負うべきことは当然である。「生徒には教師を選ぶ権利はない」のだから。自分の授業を内省(reflect)し、日々その改善を図ることが教師に求められる所以である。「“英語が使える日本人”育成のための戦略構想・行動計画」のもとに5カ年計画で実施された全英語教員対象の「悉皆研修」、また、進行中の「教育改革」の中では不適格教員に対する再研修や現場からの配置換え、教員免許の10年毎の更新制などが現在検討されているが、児童・生徒のためにより良い授業を求めて自分の授業を工夫・改善することは、専門職として教師自らが何を置いてでも率先して、まず取り組むべき課題である。